「ペルソナ設定が重要です!」──そんな言葉を聞くたびに、筆者の脳内にはひとつの疑問が浮かぶのである。「ペルソナ(笑)って、本当に役に立ってるのか?」と。
そもそも「ペルソナ」とは何なのか? もともとは心理学の用語で、かのユング先生によると「社会に適応するために人が身につける仮面」らしい。つまり、会議で「アジェンダをセットしてエビデンスベースでコミットしましょう」と言う先輩が見せる「意識高い仮面」──あれもペルソナの一種なのだ。
しかし、現代のビジネス界では、ペルソナはもっと「都合のいい妄想キャラ」へと進化した。「20代女性、都内在住、カフェ好き、iPhoneユーザー」なんて設定されるが、その瞬間、筆者の脳内では「誰!?」という疑問が爆誕する。
いやいや、そんな都合のいい人物、どこにいるんですか? 実在するのか? そもそもアンケートを取ったのか? …なんなら、いま会議室にその人を呼んでこられます?
しかし、ビジネスの世界では「ペルソナ設定」は神聖なる儀式なのだ。誰もが真剣に「架空の理想的な顧客像」を作り上げ、それを基準に戦略を語るのである。でも本当にそれ、意味あるのか? 今日はそんな「ペルソナ設定」のカオスっぷりについて語っていこうと思う。
ペルソナ設定とは、壮大なごっこ遊びである
「20代女性、都内在住、カフェ好き、iPhoneユーザー」──ペルソナ設定会議では、こんな人物像が当たり前のように作られる。しかし筆者は思うのだ。「それ、具体的にどこの誰なんですかね?」と。
マーケティングの世界では「ターゲットを明確にすることが重要!」とされている。そこで考え出されたのが「ペルソナ設定」なのだが、これがまた曲者である。なぜなら、このペルソナとやらは、たいてい「そこにいそうで、いない人」だからだ。
たとえば、こんな光景を見たことがないだろうか?
会議室に集まったマーケターたちが、「このペルソナは朝、オシャレなカフェでラテを飲みながらSNSをチェックするタイプですね」と語り合っているのだ。しかし、その場にいるのはスーツ姿のオジサンたちだったりする。
そして、こうしたペルソナの設定には、どこかしら「希望的観測」が混じっていることが多い。「こういう人がこの商品を買ってくれるはず!」という願望が、ペルソナを作り上げているのだ。つまり、ペルソナ会議とは、言ってしまえば「壮大なごっこ遊び」なのである。
ペルソナ設定に振り回される現場
さて、こうして生み出された「理想の顧客像(=ペルソナ)」だが、現場レベルではこれがまた厄介なのである。なぜなら、このペルソナ様のご意向によって、広告や企画が左右されるからだ。
例えば、こんな会話が繰り広げられる。
上司「このペルソナなら、この広告は刺さりませんね」
筆者(心の声)「……それ、ペルソナの人に聞いたんですか?」
なぜか、実在しない架空のペルソナ様が「そんなの好きじゃない」とか「このデザインは微妙」とか言ったことになっているのである。そして、このペルソナ様に対して誰も逆らえない。
極めつけは、「ペルソナのアップデート」という謎の儀式だ。
「最近のZ世代のトレンドを踏まえて、ペルソナをアップデートしました!」と発表されるのだが、それってもはや別人では?? ペルソナとは、実はとても流動的な存在なのである。
そして結局、最終的に広告の方向性を決めるのは「ペルソナの意向」ではなく、上司の一言だったりする。「俺の娘が最近こういうの好きって言ってたから、こっちのデザインで行こう」──あれ? ペルソナ、意味ある??
しかも、こうしてあれこれ議論を重ねているうちに、次第にこんな意見が飛び交い始める。
「やっぱり主婦層にも見てもらえるように、もう少し柔らかい色合いにしたほうがいいですね」
「お年寄りでも操作しやすいように、ボタンを大きくしましょう」
「結局、誰が見ても伝わるデザインがベストですよね!」
──おい、もはや「老若男女」になっているぞ。
どう乗り切るか?適当なペルソナをでっち上げる技術
ここまでの流れでわかったと思うが、ペルソナとは「それっぽいことを言うための方便」なのである。ならば、こちらも「それっぽく」乗り切ればいいのだ。
例えば、ペルソナ会議で意見を求められたときの模範解答はこれだ。
「この施策はミレニアル世代にウケますね!」
これを言っておけば、大抵の会議はスムーズに進む。「Z世代」や「α世代」でも可。なんなら「エモ消費」「タイパ重視」とか適当に付け加えれば、さらに説得力が増す。
もし、なんかそれっぽいエビデンスをもとに反論されたら、こう答えよう。
「現場の肌感的に合ってます!」
そう。あの便利ワード「肌感」である。これで大抵の相手は黙らせることができるはずだ。
また、相手が「このペルソナならこういう行動を取ります」と言い出したら、こう返せばいい。
「でも、最近のZ世代って意外と〇〇らしいですよ?」
〇〇には適当な流行語を入れておけばOK。相手も「お、おう……」と納得したふりをしてくれるのである。
要するに、ペルソナ設定とは「いかにそれっぽく話せるか」のゲームなのだ。ならば、こちらも適当に「ペルソナっぽいこと」を言って乗り切るのが正解なのである。
まとめ:ペルソナに惑わされるな!
結局のところ、ペルソナとは「都合のいい妄想」である。
「ターゲットを明確にしよう!」と言いながら、その実態はマーケターたちが「こうであってほしい」という願望を詰め込んだ架空の存在。それを元に戦略を立てたところで、現実の消費者がその通りに動くわけではないのだ。
しかし、ビジネスの世界では「ペルソナ設定」という儀式を避けることはできない。だからこそ、こちらも「それっぽく作って、それっぽく活用する」くらいの距離感で付き合うのが正解なのだ。最後に大事なのは、「ペルソナの意向」ではなく「リアルな現場の声」なのである(マジレス)!


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